関口です。
今回は、私が最近読んだ本についてご紹介いたします。
誠海事に入社して約10年が経ちました。立会い業務にも携わっていた経験からONEのコンテナ船を見る機会が多くあり、
ONEコンテナの特有のビビットカラーの表紙に惹かれ手に取り読んでみました。
皆さんはコンテナをみたことはあるでしょうか。
トラックの荷台に積まれたコンテナや鉄道を走る貨物列車に積まれたコンテナを見たことがある人は多いことでしょう。
実はあれは”世界統一規格”。コンテナを取り巻く道具や設備は全世界どこに行っても使用することができます。
これにより世界の物流を効率的に進めることができるようになり、皆さんの生活を根底から支えています。
コンテナ輸送に船が使われるようになったのは1956年。陸路や空路に比べて輸送コストや効率に優れ、今日では国際輸送の99%を担う海運がコンテナを運ぶのはもはや必然とも言えるほどのシナジーがあります。
島国である日本には数多くの海運会社が存在しており、タンカー船や自動車専用船、バラ積み船などを運航し、その中にはもちろんコンテナ船も含まれます。
日本の三大海運会社と言われる日本郵船、商船三井、川崎汽船もまた、コンテナ事業を展開しており、世界のコンテナ業界で10〜15位辺りに位置づけていました。
しかし、欧州系の会社が大型船を用いて運賃を下げてシェアを伸ばしていく中で、日本の大手三社は利益を出すことに苦心していました。
「このままでは駄目だ」という思いから、日本大手三社はコンテナ事業を分社化・統合して ONE (Ocean Network Express)が誕生します。
本書では日本大手三社のコンテナ事業の苦悩から、ONEが誕生して莫大な利益を生み出すまでの経緯を世界のコンテナ業界の事情を交えながら描かれます。皮肉を込めてJTC(Japan Traditional Company)などと呼ばれる企業が、世界でも前例のない大規模な統合を経て世界に殴り込む様は読んでいて胸のすく思いのする痛快なものでした。
街中でビビッドなマゼンタカラーのコンテナに目を引かれたことがある方や、コンテナ業界に興味のある方は一読してみては如何でしょうか。
また、コンテナの歴史をより深く知りたいという方は「コンテナ物語 世界を変えたのは「箱」の発明だった」も読んでみることをお薦めします。
